【悲報】持久力トレーニングをしてはいけない/アスリートのための筋力トレーニングバイブル(ナツメ社)書評

こんにちは!筋トレ薬剤師もみです。

 

「もっとスタミナを付けたい」

「どうすればもっと走れるようになるのかな?」

「持久力トレーニングを続けているけど、いまいち成果が出ない…。」

 

そういった悩みをお持ちの方に悲報です。

 

なんと、持久力は生まれつき決まっていることがわかっています。

伸びしろはわずか20%しかなく、ほとんどの部分は遺伝的に決まるそうです。

 

部活の怖い先生に「走り込みが足りない!」と罵倒されたことに意味などなかったのです。

あの辛い坂ダッシュはいったい何だったんでしょう?

いったい僕らは、これからどうすればいいんでしょうか?

 

「持久力は生まれつき決まっている」という身も蓋もない事実と、それに対する道しるべが「アスリートのための筋力トレーニングバイブル/ナツメ社」(2018年出版)に記載されていましたので、ご紹介したいと思います。

 

持久力は生まれつき決まっている

近畿大学 生物工学部 准教授 谷本道哉先生、同志社大学スポーツ健康科学部 教授 石井好二郎先生のお二方によると、持久力は生まれつき決まっているそうです。

持久的体力は先天的(生まれつきの)差異に比べて、トレーニングによる変化が大きくないというのが現実です。

 

トレーニングによる最大酸素摂取量の向上は20%前後でほぼ効果が上限に達するとの報告が多い。

おいおい聞いてないよ…。

でも、言われてみればそうかも…。

「鍛えれば伸びる」は間違い

本書で指摘しているように、学校の部活などの現場では、

「スタミナがないのは努力が足りないから」

「鍛えれば持久力は伸びる」

と間違った指導をされることが多いようです。

持久的体力は、「鍛えれば伸びる」「スタミナ切れする選手は走り込みが足りない」、というイメージがあり、そのような考えに基づく指導を行っていることが多いように見受けます。

 

スタミナのなさは努力が足りないように指導されることがありますが、生まれながらの要素の影響が実はかなり大きいのです。

 

実際、ぼくが学生時代に所属していたバスケットボール部でも、顧問の先生(体育の先生)の指導の元、持久力トレーニングには多くの時間を割いていました。

チームの方針もテクニックや高さではなく「走って勝つ」だったため、朝も夕方もよく走らされました。

ですがこれは間違った指導だったのです。(ショック!)

 

伸び率はわずか20%で上限に達する

トレーニングによって伸ばすことができる持久力はわずか20%で、それ以上は伸びないそうです。

最大酸素摂取量で見ると、個人差は30−80ml/min/kgぐらいの広範囲に分布しますが、トレーニングによる伸びしろは20%程度で上限に達するとされます。

トレーニングを長く積んでも成果が出ない人は、自分が持っている能力の上限にすでに達しているのかもしれませんね。

 

トップアスリートの最大酸素摂取量

「最大酸素摂取量」は持久力に最も関係のある値です。

これが高ければ高いほど、長く走ることができ、試合の終盤でも力を発揮できます。

 

一般人の最大酸素摂取量は50ml/kg/分(男性)ですが、トップアスリートは70〜80ml/kg/分にも達します。

 

元々50mg/kg/分の一般的な素因を持った選手が、長年の努力で最大限まで持久力を高めても、トレーニングで高めることができる最大酸素摂取量の上限は20%です。

なので50×120%=60ml/kg/分となり、どれだけ努力しても、トップアスリート並に持久力を付けることは不可能だということです。

これが元々30ml/kg/分しか持っていないと、上限が36ml/kg/分と、がんばっても不利な持久力しか身につかないことがわかります。

 

必死に持久力トレーニングをすれば、誰もが縦横無尽にフィールドを走り回る長友佑都選手のようになれるわけではありません。

 

持久力はたいして伸びないとわかった。で、どうすれば?

持久力は20%以上伸びないという身も蓋もない事実を知ったところで、落ち込んでしまった人も多いと思います。

ですが落ち込んでいる場合ではありません!

その事実を知ったことで1歩前進です。

本書でも持久力に上限があることを踏まえた上でのアドバイスが記載されていました。

 

とはいえ、素質の範囲内で持久力を高めるべき

もちろん、どの選手も持久力の必要な競技では素質の範囲内で持久力を最大限に高めるべきですが、達することができる上限に差があることは考慮すべきです。

20%までは伸びるので、やはりそこまでは高めるべきですよね。ほとんどの競技では、持久力はあればあるだけ有利ですから。

ふてくされていないで、上限まではやりましょう。

ですが上限に達したあとは、他のトレーニングに時間を割いた方が効率が良さそうです。

 

持久力トレーニングに割く割合を見直す

人によっては今まで持久力アップに費やしていたトレーニングを減らし、競技のスキルアップの時間に充てるの方が良さそうです。

サッカーをやっている僕は、1週間に1回行っていたHIIT(インターバルトレーニング)を2週間に1回に減らし、その分ボールを使った練習を増やそうと思いました。

 

自分に合った競技の選択を行う

持久力がない選手なら、そもそも持久力がいらないスポーツを選択すればいいじゃないか、ということですね。

素因的に持久力がない人がマラソンを頑張っても、人より勝る可能性はほぼ0に近い。

それなら、短距離走を選択すればいいわけです。

 

「それ、先に言っといてよ!」って感じですよね…。

 

持久力がいらないスポーツは

持久力がいらないスポーツが何か、色々思いつく限り出してみました。

持久力がいらないスポーツ
  • 陸上 短距離
  • 陸上 やり投げ
  • 陸上 円盤投げ
  • 陸上 ハンマー投げ
  • 卓球
  • 野球
  • ソフトボール
  • 相撲
  • 弓道
  • アーチェリー
  • バレーボール
  • パワーリフティング
  • 射撃
  • ダーツ
  • カーリング
  • eスポーツ
  • カーレース

逆に持久力がいるスポーツも考えて見ました。

持久力がある人はこちらを選択すると活躍できそうです。

持久力がいるスポーツ
  • 陸上 中距離
  • 陸上 長距離
  • バスケットボール
  • サッカー
  • ラグビー
  • 水泳
  • 水球
  • 自転車競技
  • ハンドボール

走る競技はほぼほぼ含まれますね。

 

自分に合ったポジション・プレースタイルの選択を行う

「いやいや、持久力ないけど、おれはサッカーがしたいんだー!」

という方は自分に合ったポジション・プレースタイルの選択を行うとよいようです。

同じ競技でも、ポジションやプレースタイルの選択によって、持久力がなくても勝負することができます。

選手ごとにその選手の持久力特性に合わせたポジションやプレースタイルを選択するべきでしょう。

 

例えば僕がやっているサッカーだと、キーバーは全然持久力がいりませんし、あまり走らなくていいポジションであるセンターフォワードやセンターバックを選択すれば、持久力がなくても、テクニックやパワーなど他の要素で勝負ができます。

 

有名なサッカー選手である、FCバルセロナのフォワード・メッシ選手は、試合中ほとんど走らないことで有名です。

前線でのディフェンスには参加しないかわり、ここぞというときに100%の力を出して点を取るプレースタイルです。

 

もし自分に持久力がないと思うなら、思い切ってポジションやプレースタイルの変更を考えると良いようですね。

 

まとめ

いかがだったでしょうか?

持久力トレーニングの効果には上限があるというのは、少々ショッキングな内容かもしれません。

ですが、それを踏まえた上でのトレーニング内容の見直しや、プレースタイルの変更は、今後のスポーツ人生にとって非常に有意義なものとなりそうです。

それにしても、持久力が自分の能力の上限に達していることを簡単に見極める方法が分かればいいですね。

今後の研究結果に期待しましょう。

 

では、トレーニング頑張りましょう!

 

↓今回読んだ本はこちら↓ 競技をやっている、もしくは指導者なら必ず読むべき1冊。