こんにちは!筋トレ薬剤師もみです。
みなさんは何かスポーツをしていて、
「もっと走れたらいいのにな」
「持久力がもっとほしい」
と思ったことはありませんか?
僕はサッカーをやっているのですが、持久力がないため誰よりも早く息切れして動けなくなってしまいます。
まだウォーミングアップが終わっただけというのに、僕だけ
「ハァッ!ハァッ!」
と息が切れてしまっていました。
筋トレ薬剤師もみ
筋肉はまだ大丈夫なのに、息が切れて走れなくなる
筋力や心肺機能を高めるトレーニングはしているので、それなりに体力には自信があるんです。
ですが自分より一回り年上のおじさんたちが涼しい顔をしている中、自分だけが「ハァ!ハァ!」と息を切らしているのがいつも不思議でした。
インターバルトレーニングを重ねても、なかなか走れるようになりません。
「酸素が筋肉に十分に行き渡らなくなり、思い通りに体を動かせなくなる」
という感覚です。
トレーニングを積んでもなかなか持久力が上がらないことに、長年悩んでいました。
原因は筋肉や肺ではない?
そんな中、原因は筋肉ではなく肺にあるんじゃないかと思い、呼吸について書かれた本を4〜5冊読みました。
今回はその中で、まさに欲しかった答え、
「肉体の疲労より先に息が切れて走れなくなる原因」
について書かれている本がありましたので紹介します。
2017年出版の「人生が変わる最高の呼吸法」です。
ただ腹式呼吸や鼻呼吸の大切さを説くだけの、他の呼吸関連本とは一味違う視点で呼吸の秘密に迫っています。
持久力を上げるヒントが書かれているのでサッカーだけでなく、ジョギングやマラソン、あらゆるスポーツに応用できそうです。
目次
なぜ呼吸を減らすと持久力がアップするのか
本書は
「呼吸のしすぎが体に悪い」
と言っています。
むしろ
「呼吸量を減らすことでより健康になれる」
と。
いったいどういうことなんでしょうか。
深呼吸は、すでに満杯のコップに水を足すようなもの
読んでみると、私達が今まで常識だと思っていた
「深呼吸は体にいい」
ということは実は勘違い間違いだったんだと思い知らされました。
その理由が具体的に説明されています。
正常な酸素飽和度は96%以上
深呼吸をしても酸素が取り込まれない理由は酸素飽和度です。
血液中の酸素飽和度は通常96%以上あるので、深呼吸でより多くの酸素を吸い込んでもほとんど血液中に移行できません。
深呼吸をしていくら肺に酸素を送り込んでも、すでに血液中には酸素がいっぱいなので必要以上に取り込むことができないのです。
大切なのは酸素が血液→組織へ移動すること
本当に酸素を必要としているのは血液ではなく、筋肉や内蔵などの各組織です。
血液→組織への酸素の受け渡しこそが大切なポイントなのです。
二酸化炭素が多いほど、酸素は組織へ移動しやすい
では、血液から組織へ酸素が移動するにはどうすればいいでしょうか。
答えは「血液中の二酸化炭素濃度を高める」です。
ボーア効果とは
なぜ二酸化炭素が多いと、酸素が血液中から組織へ移動しやすいのでしょうか。
それには「ボーア効果」が関係しています。
血液中の二酸化炭素濃度が高いと、酸素を運ぶ赤血球は酸素を離しやすくなります。
これをボーア効果といいます。
赤血球から酸素が離れやすくなることで、酸素は血液中にとどまることなく血液→組織へ移動します。
筋トレ薬剤師もみ
酸素を血液中から組織へ移動させるには、二酸化炭素が必要だったのです。
息がすぐ切れてしまう人や持久力のない人は、他の人より血液中の二酸化炭素が少ないのです。
なぜ、あなたの血液は二酸化炭素が少ないのか?
現代人は血液中の二酸化炭素量が少ないです。
その原因は過呼吸です。
筋トレ薬剤師もみ
ストレスの多い現代社会では、人は無意識に過呼吸となり、息を吐きすぎてしまうのです。
過呼吸になると息(二酸化炭素)を多く吐くので、血液中の二酸化炭素が減ります。
そしてこの二酸化炭素が減った状態が長く続くと、体がその状態に慣れてしまいます。
この慣れた状態でちょっと運動などして二酸化炭素が増えると、本来は耐えられた二酸化炭素量でも体は耐えられなくなり、
「はよ呼吸して!」
と脳(呼吸中枢)から命令が出てしまいます。
これがちょっと走っただけで息が切れるメカニズムです。
血液中の二酸化炭素を増やし、持久力を上げる方法
これまでの説明で、持久力を上げるためには二酸化炭素が必要ということがわかりました。
では、体の中の二酸化炭素を増やすにはどうすればいいんでしょうか?
呼吸中枢をハックする
血液中の二酸化炭素濃度を常に監視しコントロールしているのは呼吸中枢です。
呼吸中枢は脳の1番下、延髄という場所にあります。
血液中の二酸化炭素濃度が上がるとこの呼吸中枢が
「はよ呼吸して!」
と命令を出して呼吸が荒くなります。
血液中の二酸化炭素濃度を高めて持久力を上げるには、この呼吸中枢をハックする必要があります。
今は長年の過呼吸により、呼吸中枢の二酸化炭素に対する耐性が下がっている状態です。
(二酸化炭素がたくさんあることに耐えられない状態)
その耐性を上げてあげればいいのです。
つまり、血液中に二酸化炭素がたくさんあっても耐えられる、強い呼吸中枢にしてあげればいいのです。
筋トレ薬剤師もみ
高地トレーニングに高い効果がある理由がこれ
高地トレーニングというトレーニング方法を聞いたことがあるでしょうか?
マラソン選手などが行ったら一気にタイムが縮まったことで有名なトレーニング方法です。
マラソンのQちゃんとかやってました。
方法はただ練習場所を高い山の上に移し、そこで数日〜数ヶ月間トレーニングするというものです。
標高が高い場所では酸素が薄いです。
酸素が薄いと、血液中の二酸化炭素が増えます。
この状態のままトレーニングすることで、二酸化炭素の多い状態に体を慣れさせることができます。
つまり、二酸化炭素がたくさんあっても耐えられる強い呼吸中枢が出来上がるわけです。
筋トレ薬剤師もみ
強い呼吸中枢ができれば、血液中に二酸化炭素をよりたくさん保つことができ、呼吸も荒れません。
さらに、二酸化炭素が多ければボーア効果により酸素が血液中→組織(筋肉など)へスムーズに移動します。
酸素をたくさん受け取った筋肉たちは、バテることなく働き続けてくれるというわけです。
具体的なエクササイズ例
では具体的な呼吸中枢を鍛えるトレーニングを紹介していきます。
本書では具体的なエクササイズ例が多数記載されています。
いずれも擬似的に高地トレーニングを行えるものです。
ここでは基礎のエクササイズを1つ引用し紹介したいと思います。
なんとこれ、仕事中にもできます。
このエクササイズは本書で紹介するすべてのエクササイズの基礎になって いる。
軽い呼吸は正しい呼吸エクササイズ
このエクササイズの目的は、呼吸中枢の二酸化炭素への耐性を正常レベルに戻すことだ。
エクササイズをして耐えられるレベルの息苦しさを感じるなら、正しく行っているというこ
とになる。なおエクササイズ中に、胸とお腹を手でやさしく押すと効果的だ。
軽度の息苦しさを感じる状態を4 分から5分維持する。
私はこのエクササイズを鏡の前に 座って行うことをすすめている。
自分の呼吸の動きを観察するためだ。
・背筋を伸ばして座って肩の力を抜く(頭のてっぺんから糸が出ていて、その糸で自分の体 がつり下げられていることをイメージするとともに、肋骨の間隔がゆっくり開いていくの を感じること)
・片方の手のひらを胸に当て、もう片方の手のひらをおへそのすぐ上に当てる
・息を吸うときはお腹がゆっくりふくらむのを感じ、息を吐くときはお腹がゆっくりへこむ
のを感じる・次に息をしながら胸とお腹を手でやさしく押して、呼吸への抵抗をつくり出す
・手を押し返すように呼吸し、息をするたびに呼吸を小さくしていく
・1回の呼吸で吸い込む空気の量をいつもより少なくする
・呼吸のペースを落として呼吸の量を少なくし、がまんできるレベルの息苦しさにする ・さらにゆっくりと息を吐き出し、肺と横隔膜の自然な伸縮にまかせて呼吸をする(このと
き、風船からゆっくりと空気が抜けていくことをイメージする)・吸う息がごく少なくなって吐く息がリラックスしたら、呼吸の動きは目で見えなくなる」
二酸化炭素への耐性が高まってくると、息を止めながら歩く・走るといった、より高度なエクササイズへステップアップしていきます。
本書中に、今の二酸化炭素耐性レベルを測る方法が載っているので、その結果に基づいてエクササイズレベルを上げていきましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか?
まとめるとこんな感じでしょうか。
- 血液中→組織への酸素の移動が大切
- 酸素の移動には二酸化炭素が必要
- 血中二酸化炭素濃度を増やすには疑似高地トレーニングが有効
スポーツをしていてすぐに息が切れる人、体が動かなくなる人、トレーニングをしているのに持久力が上がらない人はぜひ「呼吸」を見直してみてはいかがでしょうか。